ルビーと双璧をなす宝石界の重鎮、サファイアは伝統的な宝石として古くから珍重されてきました。クラシカルで上品な様を誰も疑うことがないでしょう。
特に真っ青なサファイアはロイヤルブルーと言われ古代から神秘的な色合いが讃えられてきました。高貴な青色は英国王室を代表する色です。
サファイアのジュエリーを着用するだけで、落ち着いた雰囲気を纏えるようです。洗練されたオーラを醸し出してくれる貴石と言えます。
サファイアとは
サファイアとはルビーと同じコランダムと呼ばれる鉱物で、コランダムに鉄やチタン、バナジウム、クロム、マグネシウムを含むものをサファイアと言います。青く発色する美しいものからピンク色のものまであります。不純物の入っていないコランダムは無色透明ですが、酸化クロムが混ざることによってルビーになり、鉄やチタンが含まれるとサファイアになります。酸化クロムが入った赤い物だけがルビーになります。
鉱物の硬さを表すモース硬度では9で、これはダイヤモンドに次ぐ硬さです。宝飾品に使われる鉱物は水晶のモース硬度が基準となります。水晶のモース硬度に関する解説はこちらから。
またサファイアは宝飾品だけでなく、鉱物としての性質から光学工業の場でも使われています。
サファイアのカラーバリエーション
サファイアといえば何色の石を想像するでしょうか?記事の冒頭で青色を強調してしまったので「青」と即答されそうですが、もしかしたらすでにサファイアをご存知の方は他の色を指すかもしれません。
コランダムに他の物質が入ることで色のバリエーションが発生するのはルビーのおもしろい特性です。ブルーサファイアとルビーを除く色合いのサファイアは「ファンシーサファイア」と呼びます。グレー〜黒色まで色の多様性が豊富です。
グリーンサファイア
緑色といってもあっさりとしたライムグリーンから森林のようなモスグリーンまでグリーンサファイアにはバリエーションが有ります。他の緑色系の石であるエメラルドやトルマリンに比べ美しい色合いをしたグリーンサファイアは希少です。高品質なものに出会ったら買っておきたいところです。グリーンサファイアはその緑色から真実や誠実を意味する石です。鉄の微量元素が内包され、緑色に発色します。
イエローサファイア
明るく元気が出るような色をしています。黄色〜褐色まであり、特に発色良く黄金色に輝くものはゴールデンサファイアとされ、希少価値が高いです。イエローサファイアは石が出来上がる過程で鉄の微量元素が内包されることにより発生します。
パープルサファイア
宝飾品として人気が高い紫色をしたパープルサファイアは、市場にあまり出回らないもので、気に入るものがあったら買いたい石です。紫という神秘的な色合いが暗示するかのように、あまり語られることのなかった石です。紫の色相はクロムとチタンが内包されることにより生まれます。
ピンクサファイア
薄ピンク〜濃ピンクに発色するサファイアです。上品なピンク色に発色するところが人気です。ルビーよりもクロムの含有量が少ないものとされています。1%の含有量でルビーに、0.1%ほどだとピンクサファイアになります。
ピンクサファイアのなかでもオレンジ掛かった色合いのものは「パパラチアサファイア」と呼ばれ、希少価値が高いです。
レッドサファイア
赤いサファイアとは、つまりルビーのことです。サファイアもルビーも元は同じコランダムです。コランダムにクロムが含有されたものです。ルビーの詳細はこちらから。
ブルーサファイア
サファイアとして一番愛されている代表色が青色です。美しい青色はコランダムに鉄とチタンが内包されることのよって作られます。
みなさんがよく目にする濃い青色は加熱処理が施されることによって生まれます。加熱処理によって力強く発色するブルーサファイアになります。
もうひとつブルーサファイアに施される処理に拡散処理(ディフュージョントリートメント)があります。これはコランダムに一般的な処理で、特にブルーサファイアに多く使用されます。
拡散処理によって表面の薄い層の色が強調され、いっそう濃い青色が生まれます。
ホワイトサファイア
コランダムに何も内包されないことによって生まれる無色の石です。他のサファイアに比べて市場流通量も少ないのですが、価格もお手頃なのが特徴です。無色透明な特性を活かし、ダイヤモンドの代替品としても人気があります。
力強さを秘めた色相のブルーサファイアにと比較すると色が無い分清楚な雰囲気です。
スターサファイア
針状の細長いインクージョンによってアステリズム(スター効果)を持ったサファイアがあります。6条が基本となり、中心を取ったカボションが作られます。サファイアの原子は規則性を有して結合しているので、対称的な星の線が発生します。
サファイアの意味・効果
力強い青のサファイアは真実・誠実・智慧の象徴です。また神秘的な青色は鎮静効果が高いとされています。
込められた意味と宝石としての美しさから婚姻の場で「サムシングブルー」としてサファイアが選ばれます。ドレスの差し色にしてもサファイアの青色は良く映え美しいです。
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