カラーバリエーションが豊富で様々な名称がついたトルマリン、種類が多すぎて混乱しがちです。この記事は購入を検討する際に迷子にならないようなトルマリンガイドです。
結晶を加熱すると電気を帯びる不思議な石です。
トルマリンとは
トルマリンと名前がついていれば一つの宝石を示しそうですが、実は鉱物学においてケイ酸塩鉱物のグループ名です。300年ほど前にインドで発見されました。現在では欧州、北米、アジア、アフリカ、オーストラリアで産出されます。
トルマリンの定義は鉱物学と宝石学とで違いがあります。
鉱物学でのトルマリンの定義
ウバイト、エルバイト、ショール、ドラバイト、ビュールゲライト、リディコタイトなどの種類のように、組成によって分類します。これを「トルマリン」グループとして呼びます。
鉱物学から見るとトルマリンは鉱物のグループを指す名前なので、トルマリンとして多様な色の石があります。
宝石学でのトルマリンの定義
組成ではなく、「トルマリン」を種名として扱い、色によって変種を分けます。
昔は別々の宝石と考えられていたので、色ごとにニックネームが付けられました。カラーバリエーションが豊富なので、ややこしいといえばややこしい宝石です。
この記事では色ごとに分ける宝石学でのトルマリンの定義に合わせます。
色によるトルマリンの分類
トルマリンのおもしろい点は色がどの宝石よりも豊富なことです。無色、赤色、ピンク色、褐色、黄色、緑色、青色、紫色、黒色と虹を描けそうなほどです。
ピンク〜レッド
「ピンクトルマリン」「ルベライト」
トルマリンといえばピンク色を思い浮かべる方が多いかもしれないほど、トルマリンの代表的な色の石です。流通量も多くおかげで相対的に低予算でも買うことができる石です。
ピンク〜赤、オレンジ掛かった赤、紫掛かった赤を含めて「ルベライト」と呼びますが、ピンク色は「ルベライト」に含ませず「ピンクトルマリン」と呼ぶ人もいます。議論の余地がある点です。ルベライトの名前の由来はルビーと同じくラテン語の「ruber(赤)」からです。
グリーン
「バーデライト(ヴェルデライト)」
グリーンカラーのトルマリンはインクルージョンがなく透明度が高い石で、コレクターの間で人気が高いです。緑色の中でも特にさわやかな色合いのミントグリーンのものが良いされます。
グリーントルマリンは手に入れやすい石なので、できればカラット数が大きなものを買いたいものです。
「クロムトルマリン」
クロムが入ったグリーンの石を「グリーントルマリン」といい、石の希少性と美しさからプレミアが付きます。クロムが含まれることで緑色が強く発色します。
肉眼で確認できるインクルージョンがあるので、石を暗く見せないようにカットに技術が必要です。ただのグリーントルマリンに比べ、小さい石が主です。
ブルー
インディコライト
カラバリ豊富なトルマリンですが、青色系では「インディコライト」と呼ばれる濃い色合いの石が代表です。濃い青といっても緑色掛かったものやバイオレット色を含んだようなものまであります。インクルージョンが少ないものが良しとされ、たとえあってもカットによって目立たせないようにすることが可能です。
トルマリンは半貴石とみなされますが、インディコライトだけは貴石として扱われることがあります。。
パライバ
「エレクトリックブルー」とも表される透明度が高いネオンブルーやネオングリーンのトルマリンです。独特の彩度高めの色は銅によるものです。
カラット数が大きなものにいいお値段が付くことがありますが、手に入れやすいものが主流。パライバという名前は産出地ブラジル・パライバ州に由来します。
ウォーターメロン(すいか)
外側は緑、中心がピンクという果物のすいかのような色をしたトルマリンをウォーターメロンと呼びます。スライス状にカットされ、緑とピンクの間に白線がうっすら見えるところがまたすいか感がよく出ているユニークなところが魅力です。
キャッツアイ
インクルージョンが針のように入り猫の目のような筋ものをキャッツアイと呼びます。トルマリンにもこの筋がある場合、特性を活かしてカットされます。
トルマリン名前の由来
スリランカのシンハラ語で「イエロー・ジルコン」指した名称が「トルマリ」でした。昔々ジルコンと間違えてトルマリンをトルマリとしてアムステルダムの宝石商のところに送られたところから「トルマリン」という名前が付きました。
定義のややこしさに名前の由来が拍車をかけるという、複雑な宝石なのがトルマリンです。