クレオパトラも愛した、緑色の宝石の代表といえばエメラルドです。アクアマリンをはじめとするベリル(緑柱石)の中でも一番有名な宝石です。ベリルの中でもとりわけ濃く緑色に発色するものだけがエメラルドになります。エメラルドがなければ宝石コレクションは完成しません。
エメラルドとは
エメラルドはベリリウムを含む六角柱状のケイ酸塩鉱物のベリル(緑柱石)中でも強い緑色を有するものを言います。ベリルでも透明で美しいものが宝石と扱われ、仲間にアクアマリンやモルガナイトがあります。純粋なベリルは無色ですが、不純物が含まれることで変種を生み出します。ベリルの色は多様にありますが、その中でも代表的なのがエメラルドです。クロムが混入することで作られ、緑色が薄いものはエメラルドと扱われず、グリーンベリルとして区別されます。
エメラルドの美しさの基準
エメラルドのカラー
エメラルドを選ぶのに何よりも大事なのはカラーです。無色のベリルにクロムが含まれることで発色しますが、必ずしも美しい緑色に発色するとは限りません。きれいに混ざり合うことなく緑色がまだらに生じているものもありますし、色が薄いものもあります。青みがかったものから純粋な緑色までのものがエメラルドとして理想です。緑色が薄すぎるものはエメラルドと呼ばれずグリーンベリルになりますが、濃くても黒っぽいものでは宝石としての美しさを失います。
エメラルドの主産地はコロンビアで、70%ほどのものが青みを帯びた緑色をしています。
エメラルドは何よりも「色」です!
エメラルドのクラリティ
エメラルドはふつうの場合インクルージョンがあり、むしろ完璧な状態のものを探すのは困難です。インクルージョンに関して言えば、天然のエメラルドには他のどの宝石よりもインクルージョンが多いです。石が作られる過程で他の物質が混ざることによります。それは地中のガスの気泡や液体、他の鉱物だったり岩塩だったりと色々です。
透明度が高く輝くのが宝石としての理想かもしれませんが、エメラルドに関していえば天然物ほどインクルージョンがあるので、なんにも入っていないエメラルドはむしろ偽物を疑った方がいいかもしれません。インクルージョンが無いものは非常に希少性が高いため、お値段も跳ね上がります。
透明度に関してはおなじベリル仲間のアクアマリンとは対照的です。アクアマリンはエメラルドと反対に純度が高く透明なのが特徴です。
エメラルドのカラット
エメラルドは他の宝石と同じく大きくなればなるほど高価です。ただし、大きくても色が美しくなれけば価値が低いとされます。
大きくてもエメラルドとして理想的な色で無い場合よりも、小粒でも理想的な発色をしている方が高値が付きます。
エメラルドのカット
ダイヤモンド等の他の宝石が石の輝きを最大限引き出すためにカットの仕方が工夫されるのに対して、エメラルドの場合はブリリアンスよりもカラーの美しさを引き出すことが優先されます。
代表的なのがエメラルドカットです。ラフストーンを無駄にすることなく、エメラルドの良さを出すシンプルで伝統的なカットです。